東京で自家製パンチェッタを作ることについて

土曜日, 10月 05, 2019

DIY 手作り 豚バラ肉

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YouTubeでイタリアのおじちゃんが生クリームを使わない本場のカルボナーラ作りを見てた。
ジェイミー・オリバー氏のも見た。
そこでパンチェッタを使えと言っていた(多分、グアンチャーレも言ってたと思う)

パンチェッタ、なんかサイゼリヤで見たこと食べたことあるような。
ベーコンよりも色が薄くて、塩気があって、角切りにされてるやつ。あれか、わりかし好き。生ハムはもっと好き。

そういえば以前、ベーコンとか燻製って家の台所でも作れるというのをチラッと調べたことあった。

よし、自家製ベーコンでも作ってみるか。

「自家製 ベーコン」で自家製ベーコン作りのサイトを見て回ることにした。
なるほど、1〜3日で作る即席バージョンもあれば1ヶ月以上熟成させる場合もあると。

いくつか見てるとベーコン作りのサイトでパンチェッタという文字を目にした。あれこいつ。

っていうか、パンチェッタって自家製できるのか。
カルボナーラ作るのにベーコンで代用しなくてもいいのか。
しかも燻製しなくてもいいのか。
じゃあ、「自家製 パンチェッタ」で検索し直すか。(パンチェッタを燻製したものは、パンチェッタ・アッフミカータ(Pancetta affumicata)というらしい)

前置き兼キッカケはここまで。

用意するもの
・豚バラ肉
・塩(なんでもいい)
・キッチンペーパー(結構使う)
・ピチットシート(なんだそれ)

作業工程
・塩漬け(1週間ぐらい)
・塩抜き(半日〜1日)
・風乾(半日〜3日程度)
・乾燥/熟成(1週間〜1ヶ月)

うーん、どんなに時短しても2週間程度はかかるのか。面倒だな。
そこに、パンチェッタについて調べていると出てきた単語「塩豚」。
塩豚、即席でいいなら2,3日で可。ほう、じゃあ塩豚とパンチェッタの中間もどきでもいいか。じゃあやるか。

ちなみに季節は9月下旬、場所は東京、冷蔵庫は使わなくてもできるからそれでやってみる。
という、プリミティブかつデンジャラスなタイミングで始めることにした。

肉買い出し
・豚バラ肉
大体、500gから初めて家庭では2kgぐらいがパンチェッタ・ベーコン作りにおいて上限らしい。
手間暇は同じだから大量に作ったほうが効率的で経済的かつ美味しくできやすいらしいが、いかんせん2kg超えてくると場所取りで存在感が邪魔になるらしい。


スーパーにきた。
これは肩ロースだけど左が2kg、右が5kg。
グラム99円で安いけど確かに邪魔だ。
しかし買えない値段ではない。


で、これが皮付き豚バラブロック。600gのあったから買った。
ついでに1kgタイプの別のも買った。


これが1kgタイプのほう。
まな板の上にビニールをしいて、網をしく。

塩漬けの手順は6手順
・塩の分量を決める(5%が無難、1kg/1000gの場合は50g)(※1)
・ハーブを使いたい人はそれも用意(※2)
・アルコールを用意して、肉の表面にかけてキッチンペーパーで拭き取る(※3)
・金串かアイスピックで皮面から穴をあける(貫通させなくて可)(※4)
・塩を丁寧にまぶして全体にこすりつける(※5)
・ジッパー付き保存袋にいれる(※6)

(※1)
塩豚派は2〜3%(表面にまぶす程度)で、1ヶ月熟成派は10%という感じ。
ちなみに、海水塩のほうが岩塩よりもミネラル分が豊富だから岩塩を使わないという主張もあり。一方で、欧州の岩塩には亜硝酸塩が含まれていて、それが肉の腐敗防止と発色効果を生み出したと。だからピンクソルト一択という主張も。
ただ日本では純粋なピンクソルトの入手はやや困難。結局、粗塩でもなんでもいい。

(※2)
塩抜きするからさして効果ないと思ってあんまし重要視してない。
胡椒ぐらいはしてもいいかも。あと少量の七味唐辛子も和風ミックススパイスなのでオススメかなと。
ベーコンを作るひとはここに砂糖も塩の半分程まぶしている。

(※3)
家庭での肉の水洗いは全体的なウイルス飛散の原因になるらしく、アメリカでは鶏肉も洗うなという記事が最近あった。水洗いしてもどっちにしろ水気を取るためにキッチンペーパーを使うなら、最初からそのまま使ったほうがいい。
アルコールは業務スーパーで売ってるアレでもいい。ウイスキーとかウォッカーとかブランデーで拭いてる派もあり。

(※4)
フォークだと身が潰れやすいし疲れるからミートソフターという肉刺し器もある。


穴の数は30〜50箇所程度。意外とあけちゃう方がいいらしい。
ちなみに市販のパンチェッタは小さい穴であけてソミュール液とからしい。
まな板の上から直接やると、まな板が傷つく可能性があるから網とか、まな板とビニールの間に布巾とかかませたほうがいいかも。となると手軽にできるフォークの利便性も。

(※5)
結構、塩おちるからボウルの中でやる派もあり。洗い物増えるけど。

(※6)
これは少数派。
ほとんどはキッチンペーパーを巻いてラップにくるんで冷蔵庫いれるか、
ステンレストレーの上に網を置いてその上に肉を置いて冷蔵庫にいれるかという。
この時点でピチットシートを使う人もいたりいなかったりと。



ここからが塩漬け期間。手順は2つだけ。
・キッチンペーパーの交換
・見た目のチェック


塩漬けして、ものの一時間もしないうちにドリップと余分な水分が出てくる。
これを捨てるか、こまめにキッチンペーパーに吸わせて捨てるかして水気をなくしていく。
ただ、その作業も最初の3日間程度のみといった感じ。
これで、基本は1週間そのままにする。最長でも2週間ぐらいという感じ。

ここで、2〜3日後に再度、塩をまぶすという派もあり。
今度は塩のみで粗塩ではなく精製塩でも可という。量も表面全体という感じまではしてない程度。
今回はしなかったが、熟成度に違いがでるのか次回はしてみようかと思う。

見た目はやや色がくすんだような赤から紫寄りな色に変わっていく。
これはほぼ表面上の変化なのでさして気にしなくていい。

見た目のチェックというが、ここでは見た目のチェックよりも異臭チェックのほうが大事になってくる。この時点でアンモニア臭がするようなら失敗。
そもそもの肉が良くなかったのか、準備時の衛生環境、水気処理の不手際といったどれかが原因かと思われる。
ここで失敗してるというのは他のサイトをみてもほとんどなかった。今回、冷蔵後を使わずにやったがここでの失敗はなし。


1週間の塩漬けが終わって、次は塩抜き。
・水で塩気を取るだけ


調べてみると、大きめのボウルやタッパー容器に水を張ってそこにそこに一晩つけておくだけの浸け置き法。


溜めた水のなかで流水で少しずつ水を流していく、流水法の2大派閥があるとのこと。

この塩抜きには、表面の塩気を取るだけでなく内部の塩分濃度をバランスよくしてくれる効果があるとのこと。

で、浸け置き法と流水法のどちらがいいかというと、流水法のほうが塩気をきっちり取れるという主張が多くあった。ふーんという感じ。
極力、動的かつシヴィライゼーションはしないで作ってみたいので、漬け置きを採用してみた。

余分な脂も取れてるので悪くないなと。
少し水をかき回したりだとか、ちょっとは動きをつけてみた。
ただ、一日はおろか半日も長いなと。

なんか、なんら根拠付けはないけど、この1日っていう期間は、肉が2kgで塩分10%で作成した場合の上限なんではないだろうかと思いはじめた。
だって、どのパンチェッタ作りのサイトをみても1日以上の塩抜きを推奨しているところは見つからなった。
ということで、600gの皮付きのほうは4時間ぐらいで水揚げすることにした。

ここからは風乾というか乾燥期間
だんだんと、1項目1手順とやることが減っていく。
・網やネットなどで風にさらす(※)


塩抜きした豚バラ肉をキッチンペーパーで水気を丹念に拭いて、風通しのいい網に載せた。なんとなく輪切りの唐辛子を少しまぶした。

余分な水分と脂が抜けてきてるので10〜15%程は重量が減ったような感じになった。
四等分した直後は中身はキレイな赤みをしていたが、風に当ててるとすぐに色があせてきた。

ここで扇風機やサーキュレーターを使ったり屋外に干したり、乾燥している冷蔵庫に入れ直したりと千差万別。なので日数もバラバラ。


普通の風乾は網とか青い干物網とかよりも、洗濯ネットのほうが丈夫で取り扱いやすそうだった。とある人はブラジャー用洗濯ネットを使用したなどなど。

ここで多かったやり方はピチットシートと冷蔵庫の出番。
1〜3日ほど使ったり交換という手法が多く見受けられた。
ピチットシートを使用しない場合の保管は、裸で冷蔵庫というのがお決まりみたいだった。
で、そのまま今度はクッキングペーパーとラップにくるんで冷蔵庫に保管。
これでパンチェッタ作り終了というケースもあり。


風乾が終わると乾燥
・干しておく

そのまま風乾と乾燥がセットになってるパターンも多いが、ちょっと保管環境を変えるという人も多数。とりあえず冷蔵庫には入れなくなる派も増えてきた。

ちょっと表面が乾燥しすぎたかなといった場合は、かるく油を塗るか、一旦、クッキングペーパーにくるんでジッパー付き保存袋に1日入れておくと良いということらしい。

ここでの議題は、風当たりの強度というのがあった。
風はあったほうがいいが、その風が強いと表面が一方的に乾燥してしまうだけで内部の熟成が進みづらくなるという意見。

普段は物置や室内の物陰などに置いておき、1日1回の換気のみで十分という主張もあり。
一方で、日中の気温上昇リスクの予防のためにも、終始、風通しのいい場所に保管という主張もあり。

ここらへんがかなり曖昧で、ブログ投稿者によっては居住地の公開をしていないのがまず一番の問題かなと。要するに立地と平均気温が分からない。

周りに何も建物がなければ風通しのいい場所であり、それが当たり前だと思っている人がその場所からより風通しのいい場所に置けば、それが風当たりが強いという状況になる。
地域や家の構造によっては、室内でも乾燥しやすい場所があったりなど、まさに千差万別。

ここらへん自家製レシピ系のブログを参考にするときのネックとなる。
よくあるお約束の言葉は、「経験」「慣れ」「自己責任」というフレーズで逃げてる。
逆に、毎日、気温・湿度計と豚バラ肉の重量を測ってデーターとして公開しているブログもあったが、だから何といった感じ。ハウツー化がされてない。

そんなことを考えていたせいなのか、罰なのかどうなのか、乾燥して3日目の朝に1kg豚バラ肉を見ると。一部にワーム、蛆虫が発生した。


左上寄りの白いヤツがそう。実物は動いてる。
あと、赤身と脂の部分が茶色くなりドロドロ状態になってきてる。要するに腐敗。

風乾後、外干しにして1日に1回だけでなく何回がチェックをしていたが、いきなりこうなった。
チェックといっても表面を見て、ひっくり返すだけで、打診、触診的なのはしてなかった。

あと、10月入ってからの気温。


10月1,2日と最高気温が30度手前まで上がっていたのも原因だろうなと。

パンチェッタ・ベーコン作りの旬は、11月〜2月の4ヶ月間が絶対君主で、それ以外は冷蔵庫必須というのは理解していたが、まぁ、こういうこともあるよねと。

南イタリアのほうだと、パンチェッタではなくそれよりも脂身の多いグアンチャーレ(豚の頬肉)にするのもこういう理由もあるかなと。

ちなみに、白カビなども初期ならアルコールで拭けばOKという。

塩漬け風乾となんの問題もなく、表面も硬いし、何なら熟成香もしてきてたからうまく言ってるなと思ったが、食品安全・衛生というのが難しいものだなと。

それで、被害度は一部なので、淡い期待をこめてトリミングしてみることに。


あら、キレイな赤身色。
全部捨ててもいい覚悟だったから半分近くの300g程をカットして廃棄した。

ちなみに、乾燥後の重量の目安は、生肉から35%減が一つの目安らしい。
1kgだったら650gまで軽くなると食べ頃ですよと。
そんなに軽くなってたかなと思い、そこのぐらいの重さは測っておいても良かったかなと今後の宿題に。

で、焼いて食べた。旨い。
やはり生肉と違って水分が少ないから火の通りが早い。
豚肉特有の甘みはなくなっているが、塩気と脂身のバランスはいい。

4等分にした皮付きのほうも食べたが、こっちほうが塩気がきつかった。
小さいと塩も回りやすいのかなと。

パンチェッタ作りの旨い人は乾燥してすぐに、アミノ酸の結晶がでてくるらしい。

自家製パンチェッタ作りは、どの工程も作業時間は30分足らずで完工し、あとは放置しておくだけで、確かに手軽。

一旦、これでブログ記事は終了。

2019年11月20日(水)追記
自家製パンチェッタ作り、3作品目。


10月末ぐらいの1.2kgぐらいのを作ったもの。
500gほどは食べたから、残り700gほどかと。
気づいたのは、表面部分の肉が固くなるというところ。
食べるにはつらい固さになる。カットすると可食部分が減るなと。

市販みたいに薄切りができればよりいいのだろうけど家庭では難しいなと。
あと、あらためてブランドメーカーの市販品は安全で美味しいとはいえ関税分もあいまって高いなと。


なので、自家製パンチェッタは気持ちスライス感を出して細切りにしたほうが、短冊切りや拍子木切りよりも食べやすい。
カルボナーラだけでなく、ミートソース、ナポリタンなどに合わせてて旨い。

冬に常温保存が可能な肉というのは、やはりなにかと料理には便利。

東京で、冷蔵庫もピチットシートも使わずに美味しい自家製パンチェッタが作れるのかと半ば疑問に思いながらも試してみたが、思ったよりも上手くいったものだった。


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